たまに保護者の方から聞かれる質問です。「志望校、受験校の過去問をくり返して演習する必要はあるのでしょうか?」というものです。もちろん、受験する志望校の過去問数年分を「一度」は演習、採点しておくことは必要不可欠でしょう。一方、受験する志望校の過去問を「くり返し」演習することは無駄とも言えますし、有益と言うこともできます。まずは「無駄である」と言うことについてですが、その理由は、過去問と同じ問題が出題されることはあまり考えられないからです。「過去問の同じ問題をくり返し演習するくらいなら、塾のテキストの手つかずの問題を演習し、一つでも多くの解法を身につけた方が有効である」というのも理にかなった考えだと思います。次に「有益である」と言うことについてですが、その理由は、「学校ごとに出題傾向や問題を解くにあたっての考え方に特徴があり、くり返し過去問を演習することによってその特徴をつかみ、頭と体にたたき込み、新しい問題であっても入試本番で対応することができる」というものです。どちらが正しい、間違っているのかは正直わかりませんが、実際過去問をくり返し演習した結果どうなったか、数例ですが知っております。保護者様のご意向で「くり返し」過去問を演習した生徒がいました。その結果は皆第一志望合格となりました。かなり前になってしまいますが、私自身も受験する学校の過去問を(おそらく間違えた所を)くり返して演習し、合格することができました。入試本番でわからない問題をよく考えていたらひらめいて回答できた記憶があります。当時「何度も過去問をやったからひらめいたんだろうな」と思いました。このように、たくさん見聞きしたというわけではありませんが、「くり返し」過去問を演習したらうまくいったというケースがあるようです。しかしながら近年の中学受験入試問題の難化、複雑化には目を見張るものがあります。これに対応するために中学受験塾から出される教材、課題は膨大なものでしょう。数年分の過去問を「一度」演習する時間の確保さえ難しいかもしれません。たくさんの教材を演習しておけば、解法が身につき、入試本番で対応できる問題が増えるでしょう。一方で受験勉強は取捨選択が重要です。すべての問題を演習することはできません。新しい問題を演習してもわからなくて、しかもご家庭の中だけでは解決できず、無駄に感じてしまい悪循環になってしまうこともあるでしょう。そのような場合は、新しい問題は捨てて、志望校の過去問を「くり返し」演習してみるのは一つの有効な手かもしれません。